美容室や飲食店の開業において、インボイス登録が必要かは「法人客の割合」で決まります。登録すると消費税の納税義務が発生するため、事業計画の段階で2割特例などを考慮した資金繰りシミュレーションが不可欠です。
京都・大阪・滋賀で飲食店・美容室の開業融資をサポートしている、Izanagi consultinG group代表の砂田です。創業のご相談を受ける中で、「インボイス制度ってうちのお店にも関係ありますか?」という質問を本当によくいただきます。結論から申し上げますと、インボイス登録をするべきかは「企業向け(BtoB)の売上がどの程度あるか」で決まります。今回は、起業時に迷いがちなインボイス制度の基本と、事業計画への影響について分かりやすく解説します。
飲食店・美容室の開業に「インボイス」は関係ある?
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税の仕入税額控除に関するルールのことです。少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「国が認めた請求書(インボイス)を発行できるお店でないと、経費を使うお客さま側が損をしてしまう」という仕組みです。
- 美容室の場合:
お客様のほとんどは一般の個人(BtoC)です。個人のお客様は消費税の申告を行わないため、インボイス付きの領収書を求められることはほぼありません。そのため、無理にインボイス発行事業者になる必要性は低いと言えます。 - 飲食店の場合:
ターゲットが「会社の宴会」や「接待」など、経費で飲食をする法人客である場合は注意が必要です。「インボイスの領収書が出ないなら、別のお店にしよう」と敬遠されてしまう事態に陥りかねません。特に、京都のオフィス街や繁華街周辺で開業する場合は、法人需要を取り込むために登録を検討することが大切です。
インボイス登録が「事業計画」と「資金繰り」に与える影響
「それなら、とりあえず登録しておこう」と思ったのなら、要注意です。インボイス発行事業者として登録するということは、本来なら開業から2年間免除される可能性のあった「消費税の納税義務」を最初から背負うことを意味します。
資金繰りへの影響シミュレーション
年間売上が1,100万円の場合、単純計算で100万円の消費税を国に納める必要が出てきます。これは開業直後の資金繰りにおいて、非常に大きな負担となります。
そのため、融資を受けるための「事業計画」を作成する段階で、消費税の支払い分をあらかじめ予測し、キャッシュフローが回るように自己資金や借入額をシミュレーションしておくことが重要です。
激変緩和措置(2割・3割特例)を活用した中長期的な資金繰り
とはいえ、いきなり多額の消費税を納めるのは酷であるため、国も激変緩和措置を用意しています。現在、売上にかかる消費税の2割だけを納めればよい「2割特例」(※参照ページ)という制度がありますが、これは令和8年(2026年)9月末で終了します。
「それ以降はどうなるの?」と不安に思う方もご安心ください。2割特例の終了後も、2027年・2028年分に限り、個人事業者向けに税負担を「売上の3割」とする新たな特例措置(3割特例)が導入される予定です。つまり、開業直後は「2割」、数年後には「3割」、その後は「本則(または簡易課税)」と、段階的に消費税の負担が増えていくことになります。だからこそ、創業時の事業計画書は「1年目の数字」だけでなく、3年後、5年後の税負担も見越した現実的なキャッシュフローを組むことが成功の鍵となります。
まとめ
インボイス制度は、ターゲットとする客層によって登録すべきかどうかが大きく分かれます。ご自身のお店のコンセプトやターゲット層を見極め、数字を「見える化」した事業計画を作ることが大切です。起業は孤独な戦いではありません。迷ったときはぜひ、専門家であるコンサルタントに相談することをお勧めします。
Izanagi consultinG groupでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
【よくあるQ&A】
Q:個人のお客様ばかりの美容室でも、インボイス登録は必須ですか?
A:必須ではありません。一般のお客様がメインであれば、未登録のままでも売上に悪影響が出る可能性は極めて低いです。
Q:開業後に途中からインボイス登録をすることは可能ですか?
A:はい、可能です。最初は免税事業者としてスタートし、法人客の要望が増えてきたタイミングで登録申請を行うこともできます。
Q:登録すると、事業計画書の書き方は変わりますか?
A:変わります。消費税の納税分を手元に残しておく必要があるため、キャッシュフローの計画をより保守的に見積もる必要があります。
Q:2割特例はいつまで使えますか?
A:現行の制度では、令和8年(2026年)9月30日の課税期間まで適用可能です。期限がある点には注意してください。
Q:法人客が全くいない美容室の場合、インボイス登録をしないと罰則がありますか?
A:罰則はありません。インボイス登録は任意です。個人のお客様はインボイスを必要としないため、未登録のままでも売上に直接的な悪影響が出る可能性は極めて低いです。
Q:飲食店でインボイス未登録の場合、法人客から具体的にどのような反応が予想されますか?
A:「経費精算で全額控除できないなら別のお店にする」と、接待や宴会の予約を避けられるリスクがあります。オフィス街など法人需要が見込まれる立地では注意が必要です。
Q:2割特例や3割特例は自動的に適用されますか?
A:消費税の申告書に特例の適用を受ける旨を付記するだけで適用されます。事前の届け出は不要ですが、期限や条件があるため申告の際は税理士にご確認ください。
執筆者紹介

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Izanagi consultinG group 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
一般社団法人美容フリーランス協会 理事
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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