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開業直後の「運転資金」はいくら必要?季節変動を乗り切るリアルなシミュレーション

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美容室や飲食店の開業融資において、最も見落としがちなのが開業直後の「運転資金」と季節変動リスクです。売上の波に耐え、資金ショートを防ぐために必要な運転資金の計算方法と事業計画の立て方を専門家がやさしく解説します。

 

京都・大阪・滋賀で飲食店・美容室の開業融資をサポートしている、Izanagi consultinG group代表の砂田です。

「開業時の資金調達で、運転資金はいくら借りれば安心ですか?」「3ヶ月分と書けば融資は通りますか?」

という質問をよくいただきます。多くの起業家が「オープン直後から売上は順調に上がる」と楽観視しがちですが、現実はそう甘くありません。特に美容室や飲食店は、季節や天候によって売上が大きく変動するリスクを抱えています。今回は、開業直後の時期を乗り切り、お店を軌道に乗せるために本当に必要な「運転資金」の考え方と、リアルな資金繰りシミュレーションを解説します。

 

多くの起業家が陥る罠「毎月同じ売上が上がる」という勘違い

創業融資の事業計画書で「毎月売上200万円、経費150万円」と綺麗な一律の数字を並べる方が多いですが、実際の経営で売上が毎月同じになることはありません。特に京都は季節による客足の変動が顕著です。

観光地近くの飲食店なら春の桜や秋の紅葉シーズンは繁盛しますが、梅雨時の6月、酷暑の7〜8月、底冷えの1〜2月は観光客が激減し、売上が半分以下になることも珍しくありません。美容室も3月や12月は繁忙期ですが、2月や8月は「ニッパチ」と呼ばれる閑散期に入ります。売上には必ず「波」があることを創業前から理解しておく必要があります。

 

美容室と飲食店の「閑散期(ニッパチなど)」とキャッシュフローのリアル

売上が落ちる閑散期でも、家賃やリース代、借入返済などの「固定費」は減りません。スタッフの人件費も毎月一律で発生します。

例えば毎月の固定費が120万円の店舗で、繁忙期の売上が200万円あれば80万円手元に残りますが、閑散期に売上が100万円に落ち込むと、その月だけで20万円の赤字(資金持ち出し)になります。

開業直後にこのような閑散期が重なったり、オープン景気が落ち着いたタイミングで客足が落ちた際、十分な「運転資金」がなければ一瞬で資金ショートに陥ります。売上の波を乗り切るためのクッションとなる現金をどれだけ確保できているかが、その後の運命を分けます。

 

■関連記事:【美容室・飲食店】開業1年目の固定費とキャッシュフロー管理術

 

固定費の何ヶ月分が正解? 創業融資で確実に確保すべき「運転資金」

一般的に「運転資金は固定費の3ヶ月分」と言われますが、専門コンサルタントとしての答えは違います。最低でも「固定費の4ヶ月〜6ヶ月分」、可能であれば「売上が想定の半分でも半年間は耐えられる額」を創業融資で確保することをおすすめしています。

毎月の固定費が90万円の場合、3ヶ月分なら270万円ですが、6ヶ月分なら540万円です。「多く借りると利息がもったいない」と不安になるかもしれませんが、融資担当者も季節変動のリスクは熟知しています。むしろ「季節変動リスクを考慮し、軌道に乗るまでの半年間の運転資金として〇〇万円を確保したい」と、明確な根拠を持って多めの運転資金を要求する事業計画書のほうが、リスク管理能力の高さを評価され、融資が通りやすくなります。

 

楽観的・悲観的の2パターンの事業計画書を準備することが成功の鍵

融資を成功させ開業後の不安を解消するために、当グループでは「楽観的シナリオ」と「悲観的シナリオ」の2パターンの計画書作成を推奨しています。

 

項目 楽観的(目標)シナリオ 悲観的(最悪)シナリオ

 

月間売上高 200万円(計画通り) 120万円(想定の6割)
固定費 120万円 120万円
変動費・返済金 40万円 28万円
毎月のキャッシュフロー +40万円(黒字) -28万円(赤字)

 

悲観的シナリオ(最悪の状況)では毎月28万円の赤字が出ますが、創業融資で500万円の運転資金を調達していれば、この赤字を約17ヶ月間も補填し続けられます。「最悪の事態でも1年以上持ちこたえられる」という現金の裏付けは、経営者にとって最大の精神安定剤です。焦って無理な値引きをすることを防ぎ、じっくりリピーターを増やす本来の正しい経営に集中できるようになります。

 

■関連記事:キャッシュフローを見える化する「資金繰り表」の作り方

 

まとめ

開業時、内装や設備など目に見えるものにお金をかけたくなる気持ちは分かりますが、本当にお店を守り長く愛されるために重要なのは目に見えない「手元の現金(運転資金)」です。手元にお金を残して開業することは、プロの経営者として最も賢明なリスク管理です。

Izanagi consultinG groupでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。

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Q&A

Q1:創業融資で運転資金だけを多く借りることは可能ですか?

A1:可能です。ただし設備資金のように見積書がないため、なぜその金額が必要なのかを計画書内で詳細に説明する必要があります。「初期3ヶ月の広告費、材料仕入、軌道に乗るまでの固定費補填」など具体的な内訳を示すのがポイントです。

Q2:自己資金が少なくても、多くの運転資金を融資してもらえますか?

A2:自己資金の額は融資総額の判断(一般的には希望額の1/10〜1/3程度が必要)に大きく影響します。しかし、自己資金が少なくても、十分な経験年数や精緻な事業計画書があればカバーして融資を受けられるケースは多々あります。(※参照

Q3:開業後、運転資金が足りなくなったら追加融資を受けられますか?

A3:開業直後(1期目の決算前)の追加融資は、当初の計画が破綻していると見なされるため審査が非常に厳しくなります。「足りなくなったらまた借りればいい」は通用しないため、最初の創業融資時に多めに確保することが極めて重要です。

Q4:運転資金を抑えるために、最初は広告費を削っても良いでしょうか?

A4:開業初期において、認知度を高める広告費は「未来の売上を作る投資」であり削るべきではありません。むしろ開業から3ヶ月間集中的に投入できるよう、最初から運転資金の中に組み込んで融資を引いておくべきです。

 

 

執筆者紹介

izushi
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