美容室や飲食店の創業には、物件取得費、内装費、設備投資、人件費など多額の資金が必要です。ですが、創業してすぐは思うように売上が伸びないこともあって、資金繰りに頭を悩ませるケースも少なくありません。そんなときに助けになるのが、日本政策公庫の融資や、公的支援です。
そこで本記事では、創業時や経営難に陥ったときに活用できる代表的な制度をご紹介します。
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」
創業者の心強い味方となるのが、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。無担保・無保証人でも融資を受けられる点が特徴で、自己資金が少ない方でもチャレンジしやすい制度として知られています。返済期間は事業内容によりますが、運転資金であれば最長7年、設備資金であれば最長20年と長期返済が可能です。
融資対象は「創業前~創業から7年以内の事業者」となっていて、一時的に資金繰りに困っている事業者であれば審査を通過する可能性は大いにあります。融資申し込みに必要なのは、創業計画書と見込収支といった経営に関する資料。融資申込時にはこれらをしっかりまとめあげる必要があります。大変な作業ではありますが、この融資審査を通して、経営の筋道を立てる良いきっかけにもなるでしょう。
「小規模事業者持続化補助金」
売上が思わしくないことが理由で資金繰りが難しいと感じたら、販路開拓や業務効率化に使える「小規模事業者持続化補助金」も検討できます。これは、商工会・商工会議所のサポートを受けながら申請できる補助金制度で、チラシ作成やホームページ開設、設備導入などの費用の2/3(上限50万円〜200万円程度)が補助されます。
申請には「経営計画書」と「補助事業計画書」が必要で、書類作成の際には地域の支援機関がサポートしてくれます。事業改善を図りたいタイミングで活用すると、資金面だけでなく、経営の見直しにもつながります。
「セーフティネット保証制度」の活用
事業をしていれば、取引先の倒産や突発的な自然災害、業界全体の景気悪化などの外部要因によって、業績が悪化するということもあります。このような理由で、既存の借入金の返済が困難になった場合には、「セーフティネット保証制度」を活用することができます。
この制度は、信用保証協会が、通常より手厚い保証を提供することで、金融機関からの追加融資や返済猶予を受けやすくなるというもの。
例えば、「売上が前年同月比で20%以上減少した」「取引先の倒産が影響している」といった状況でも申請可能な場合があります。市区町村の認定書が必要なので、まずは自治体の窓口で相談を行うとよいでしょう。
まとめ:ひとりで悩まず、公的支援を上手に活用しよう
創業期や経営初期には、予想外の出費や売上の変動に戸惑うこともあるでしょう。しかし、日本政策金融公庫の融資制度や、公的な補助金、保証制度などを上手に活用することで、経営を安定させることができます。
「困ってから調べる」ではなく、「困る前から知っておく」ことは、非常に大切です。地域の商工会や金融機関、日本政策金融公庫など、相談できる窓口は多くありますので、もし経営が苦しくなっても一人で悩まず、一度専門家に相談してみることがおすすめです。
美容室・飲食店創業支援センターでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。
開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
執筆者紹介

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美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
一般社団法人美容フリーランス協会 理事
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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