店舗型ビジネスの売上は、「集客数」「客単価」「回転率」の3つの要素で構成されています。
このどれもが、事業の成功を左右する重要な要素で、経営上重要な指標で、飲食店でも美容室でも考え方はさほど変わりません。
今回は、「集客数」「客単価」「回転率」の基本的な概念と、売上を上げるためのポイントについて解説していきます。
売上は「客数 × 客単価」で決まる
店舗型ビジネスの売上を最大限シンプルに表現すると、以下のような式になります。
売上=客数×客単価
お客さんが何人来店して、1人あたりいくらの金額を使ってくださったのか。この2つを掛け合わせると、売上額が算出できます。
売上を上げたい場合は、来店客の数を増やすか、1人あたりの使う金額を増やすか、もしくはその両方を上げればいいというわけです。(当たり前すぎる話ではありますが……)
「回転率」とは?
では、売上を上げるために、お客様の数を増やしたいと考えたとします。ところが、飲食店や美容室では、「客席数以上のお客様に同時に着席してもらえない」のが現実です。
そこで「回転率」という考え方が出てきます。回転率とは「一定の時間内に、テーブルが新しいお客様によって利用される回数」つまり、お客様が何回入れ替わったのかを表す指標です。
回転率=客数÷客席数>
回転率が高いということは、同じテーブルを、多くのお客様が短い間隔で利用していることを意味しています。
回転率の計算方法は?
対象とする期間や時間帯に決まりはないですが、一般的には日次の来客数をもとに計算することが多いです。もちろん、「ランチタイムの回転率が知りたい」という場合は、時間で区切って算出することもできます。
たとえば、客席数が30席、開店から閉店まで150人の来客があった場合、回転率の計算式は次のようになります。
回転率=150(来客数)÷30(席数)=5
つまり「1日の間に5回お客様が入れ替わった」ということです。
この回転率ですが、客単価と大きな相関関係にあります。牛丼屋などの客単価が低い店では、お客様は食事をしてすぐに帰るため、回転率は上がります。一方、客単価が数万円するような高級飲食店では、お客様が長時間滞在するため、1日1回転しかしないこともよくあります。
回転率をどれぐらいに設定するかは、お店の重要な経営戦略になるのですね。
回転率を使って売上を計算するとどうなる?
「客数」とは、つまり「席数×回転率」ということです。
そうすると、売上を計算するための式「売上=客数×客単価」を、より詳しく分解すると以下のようになります。
売上=(席数×回転数)×客単価
さらに言えば、飲食店においては、席数がすべて埋まる(満席になる)ことは、あまり多くありません。4人がけのテーブルに3人組のお客様が座れば、3/4席(これを稼働率75%と言います)となります。
飲食店では、客席稼働率は平均65%〜70%と言われています。これを下回るようでしたら、単体のお客様にはカウンターを案内する、テーブル席は3名以上で案内するなど、運営方法を検討した方がいいでしょう。
回転率を上げるには?
回転率を上げるためには、次のような取り組みが考えられます。
注文、会計処理の時間を短縮する
最近は、スマホやタッチパネルを使ったオーダー方法が増えています。店員を呼び出してオーダーを取るまでの時間を短縮することができますし、オーダーを直接厨房に表示することで伝達の時間を短くできます。
メニューをわかりやすいものにする
文字が小さすぎる、メニューがどこにあるかわからない、というものも注文までに時間がかかってしまいます。パッと目に飛び込み、すぐに注文したくなるようなメニューを作るようにしましょう。
サービス提供時間の短縮
飲食店であれば食事の提供を、美容室であれば施術までの時間をできるだけ短縮できるようなオペレーションを作りましょう。また、提供時間が短ければ、お客様の満足度も高まります。
まとめ
今回は、売上と回転率の考え方について紹介しました。
回転率は売上に大きく関わるものですが、同時に、回転率を高めようと努力したこと(オペレーションの改善や新たな注文システムの導入、提供時間の改善など)で、お客様により満足いただけるサービスにつながることもあります。
一方、回転率を重視するあまり、お客様にとって居心地の悪い空間になってしまっては意味がありません。顧客目線を第一にして、回転率を高めていきましょう!
美容室・飲食店創業支援センターでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
執筆者紹介
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美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
セミナーBOOK株式会社 取締役
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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