飲食店や美容室といった店舗型ビジネスの売上は、「集客数」「客単価」「回転率」の3つの要素から成り立っています。売上をあげるためには、これら3つの要素のうちどこを高めていくのか、戦略的に考えなくてはいけません。
そこで今回は、店舗型ビジネスにおける売上公式の基礎と、売上を伸ばすための具体的な方法について紹介して行きます。
売上の基本公式:「客数 × 客単価」
お客様が来店するのが基本となっている店舗型ビジネスでは、売上を算出する最もシンプルな計算式は、
売上 = 客数 × 客単価
となります。
「来店したお客様の数」と「1人あたりの平均購入金額」を掛け合わせることで、1日の売上額を算出します。たとえば、1日に100人の来店があり、1人あたりの平均購入額が2,000円だった場合、1日の売上はいくらになるでしょうか。
売上=100(客数)× 2,000(客単価)=200,000円
100人が来店し、一人当たり2,000円購入する店舗の1日の売上は、20万円になるという計算です。
では、これよりももっと売上を上げたいという場合にはどうしたら良いと思いますか? この公式に使われている「客数」か「客単価」をあげること、あるいは両方を向上させればいいのです。
つまり、来店客数を増やすか、客単価を上げるという戦略が求められるのです。この原理は単純なのですが、店舗型ビジネスの基本の形なのでしっかりと覚えておきましょう。
「客数」を増やすには?
売上を上げるため、「客数」の増やす戦略を取ることにしたとしましょう。しかし、飲食店や美容室などの店内では、物理的な客席数に制限があります。席数が20のお店に、一度に入れるお客様の数は20人までです。
その枠内で最大限の売上を上げる仕組みを考える必要があるのですが、そこで重要になるのが「回転率」という指標です。
回転率=客数 ÷ 客席数
回転率というのは、一定の時間内に同じテーブルが何度新しいお客様に利用されたかを示す指標です。たとえば、30席ある店舗で、1日150名のお客様が来店した場合、回転率は次のように計算されます。
回転率=150(来客数)÷ 30(席数)=5
つまり、「1日の間に5回お客様が入れ替わった」という意味になります。
回転率を上げる取り組み
ということは、回転率を上げれば客数が増えるので売上が上がる、ということになります。回転率を上げるためには、決済時間(レジ対応時間)の短縮や、サービス提供時間の短縮、お客様が選びやすいメニュー構成を考える、モバイルオーダーなどの導入、などが考えられます。一つ一つのサービス時間を少しずつ短縮していけば良いのです。
ところが、この戦略はすべての店舗に当てはまるわけではありません。
客単価の低い牛丼店やラーメン店では、食事時間が短いので回転率が高くなります。1時間のうちに2回転、3回転することも考えられますよね。一方、高級レストランではお客様が長時間滞在するため、回転率はぐっと低くなります。
この違いはどちらが良いか悪いか、といったものではありません。
業態や提供するサービスに応じて、経営戦略は変わるものだからです。回転率を高めることで売上を最大化する戦略をとる業態では、サービス提供時間の短縮や、オペレーションの効率化をしなくてはいけませんし、一方、客単価の高さで勝負する業態では、長居を歓迎し、居心地の良さを追求することが大切になってきます。
客席稼働率の考え方
「回転率」を考える時に、もう一つ重要になるのが「客席稼働率」という考え方です。
これは、全ての席が埋まっている状態(満席)を基準に、どれだけの席が実際に利用されているかを示した数値です。たとえば、3人のお客様が4人掛けテーブルを使用した場合、その席の稼働率は75%になります。その席に4人で座れば100%、2人だけで座ると50%になります。
飲食店の平均的な稼働率は65~70%程度とされていますので、この水準を下回っている場合は、改善策を考えるべきです。
一人で来客したお客様はカウンター席に案内する、グループ客にはテーブル席を優先的に割り当てる、予約システムを活用し、席の割り振りを効率化する………などがあります。ただし、あまりにも客席稼働率を意識してぎゅうぎゅうに詰め込んでしまうと、顧客満足度が下がってしまうことがあるので、バランスを見ながら調整しましょう。
「客単価」を上げるには?
売上を上げるためのもう一つの方法は、「客単価」を上げることですが、具体的には何をしたら良いのでしょうか?
最近多いのが直接的な値上げです。ここ数年、急激に物価上昇が進んでいるので、すでに店舗を構えている方のほとんどは、この1、2年で値上げを実施されていますが、これは客単価向上のためというより、原価上昇による煽りを受けたという理由が大きいでしょう。
ただ、これを単に原価上昇分だけ値上げをするのか、それともより利益を得られるようにもう少しだけ値上げをするのかは、お店によって異なっています。場合によっては、人気メニューだけ値上げ幅を高くしておき、人気のないメニューは値上げ幅を小さくすることで、お店全体のバランスをとりながら、売上を上昇させているお店もあります。
客単価を上げるためには他にも、美容室であれば高付加価値オプション(高級トリートメントやヘッドスパなど)を設定する、サービスの質を向上させる、などの方法があります。
まとめ
売上を表す公式「売上=客数×客単価」は、店舗ビジネスの基本中の基本です。客数を増やすには回転率や客席稼働率をしっかりと把握して、店舗運営の戦略を考える必要があります。
客単価を上げるには、利益を増やせるような値上げをすること。そのためにも、普段からサービス品質の向上に努める必要があります。
最近は、どの業態も値上げが続き、完全にデフレからインフレへと市況は転換しました。そんな中、数年前から売上が変わっていないということは、原価が上がっている分、利益は少なくなっているはずです。
これからビジネスを始める人であればなおさら、売上向上には真剣に取り組む必要がありますし、今後も物価変動は続くでしょうから、その時々に合わせた動きをしていかなくてはいけません。
基礎知識をしっかりと学ぶことで、健全な経営をしていきましょう!
私たち「美容室・飲食店創業支援センター」では、京都・大阪・滋賀を中心に、新規開業を目指す方々のサポートを行っています。開業に関するご相談がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
執筆者紹介

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美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
一般社団法人美容フリーランス協会 理事
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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