近年の人手不足の深刻化やコロナ禍後の需要回復などに伴って、ほとんどすべての業界で、労働環境の改善や賃上げへの取り組みが加速しています。
今年は最低賃金の引き上げも発表され、京都府では最低時給1,058円、大阪府では最低1,114円へと、それぞれ50円ずつ引き上げられています。
飲食業界においても当然賃上げの流れは見られます。そこで今回は、飲食店における最新の賃上げ動向とその背景、そして今後の課題について解説します。
最低賃金引き上げの影響
2024年10月、最低賃金の引き上げが行われましたが、全国平均の引き上げ幅は51円で過去最大となりました。
大手チェーン店などは最低賃金に近い時給で従業員を雇用していることが多いのですが、人件費を極限まで抑えている店舗にとって、最低賃金が上がるということは直接的なコスト増を意味しています。
都市圏だけではなく、地方でも賃金が引き上げられているので、地方の飲食店においても人件費増加への対応が必要になっているのが現状です。
また、飲食業界は慢性的に人手不足な業界です。特にアルバイトやパート従業員の人材不足は顕著なので、賃金を引き上げることで他の店舗・業界との競争力を高め、人材を集めようとする動きが、飲食店業界にも広がってきています。
賃上げへの対応策
しかし、賃上げが進む一方で、多くの飲食店がコスト増加に悩まされています。インフレにより、人件費だけではなく原価も上がっていく中で、どのように経営を進めていくか、利益を上げるか考えなくてはいけません。
まず取り組みやすいのは、メニュー価格の改定(値上げ)です。人件費や原価上昇分を、価格に転嫁するということです。
次に、オペレーションの効率化も効果があります。人手を削減しつつも同等のサービスを提供するため、注文のデジタル化やセルフサービス化などの取り組みが進んでいます。特にオーダーシステムのデジタル化、決済のデジタル化は急速に導入する店舗が増えてきたので、お客様側も慣れてきました。
そして忘れてはいけないのが節税対策です。政府が創設した「賃上げ促進税制」を適用すれば、所得税の額面から最大45%税金が控除されます。これには要件がいくつかありますが、要件を満たしていれば事前申請などは不要で税金を減らすことができますので、わからない方はすぐに専門家に相談しましょう。
まとめ
完全にインフレ時代へと突入したわけですが、従業員の賃上げはもはや全ての業界・すべての企業で取り組まなくてはいけない課題となってきました。
人材を確保しなくてはいけないという点からも、賃上げをして他社よりも競争力を高める必要があります。さらに今後は、賃金アップに加え、効率的なオペレーションを実現したり、システムを導入することで、人手がかからないように環境を見直す必要もあるでしょう。
日本全体が賃上げムードの中、追い風として「賃上げ促進税制」もありますから、せっかく賃上げをするなら、節税効果が高いまさに今、気持ちよく賃金アップを行ってしまいましょう!
美容室・飲食店創業支援センターでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
執筆者紹介
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美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
セミナーBOOK株式会社 取締役
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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