物件を内見して「活気があってよさそう!」と感じた経験はありませんか? ですが、その直観は本当に正しいのでしょうか。
飲食店や美容室の経営では「立地7割」という言葉があるほど、開業場所が売上を左右します。重要なのは、感覚ではなくデータで立地を判断すること。この記事では、人通りに関するデータをどこで集め、どう分析すればよいかを具体的に解説します。
1. まずは無料の公的データから

コストをかけずにスタートできるのが、国や自治体が公開している統計データです。
国土交通省「全国道路・街路交通情勢調査」(通称・道路交通センサス)では、全国の道路ごとに歩行者数や車両台数が記録されています。平日・休日別、時間帯別のデータも確認できるため、「昼間に人が流れる場所か」「夜に人が残る場所か」を把握するのに役立ちます。
また、総務省「国勢調査」では、エリアごとの昼間人口・夜間人口が確認できます。昼間人口とは、通勤・通学などで日中そのエリアに滞在している人数のこと。オフィス街は夜間人口が少なくても昼間人口が多いため、ランチ需要が高い反面、ディナーは見込みにくいといった傾向が読み取れます。業態に合わせた時間帯の人口を確認することが重要です。
2. 「属性」を知るには人流ビッグデータを活用する
公的統計では「何人いるか」はわかっても、「どんな人が歩いているか」まで知ることはできません。そこで注目されているのが、スマートフォンのGPS情報をもとにした人流ビッグデータです。
代表的なサービスとして、NTTドコモの「モバイル空間統計」などが知られています。こうしたデータでは、通行者の年齢層・性別・滞在時間・来訪頻度・居住エリアまで把握できます。
- 美容室なら「20〜40代女性の通行が多い時間帯はいつか」
- 居酒屋なら「夜間に人が滞在しているエリアか」
- カフェなら「休日の午後に人が集まるエリアか」
といった分析が可能になります。有料サービスが多いものの、一部は試用プランや無料枠で利用できます。中小企業診断士や創業支援機関に相談すると、活用方法を教えてもらえることもあります。
3. 自分の目で補完する「現地カウント調査」
データで方向性を絞ったら、必ず現地に足を運んで自分でも確認しましょう。候補地の前に立ち、平日と休日の2パターン、それぞれ朝・昼・夜の時間帯に分けて通行人数をカウントするのがいいでしょう。
このとき、ただ人数を数えるだけでなく、以下の点も記録しておくと分析に役立ちます。
- 通行者の年代・性別の傾向
- 立ち止まる人がいるか、それとも通り過ぎるだけか(滞留性)
- 荷物の量(買い物客か通勤客かの判断に使える)
- 近くの競合店への入店状況
人通りが多くても、足を止めてもらいにくい導線上の立地では、集客に苦労するケースがあります。「人が多い=良い立地」ではなく、自分のお客さんになりうる人が、立ち寄りやすい導線上にいるかどうかが本質的な判断軸です。
分析の「読み方」で差がつく3つのポイント
データを集めたら、次のような視点で読み解いてみましょう。
① 業態と時間帯を合わせる
ランチ中心の定食屋なら昼間人口、夜の居酒屋なら夜間滞在人口を最重視します。美容室は平日昼間の女性の通行量が特に参考になります。
② 居住人口と昼間人口のギャップに注目する
ベッドタウンは居住人口が多くても昼間は人が少ないため、昼の集客が見込みにくい場合があります。逆に商業エリアは昼間人口が多く、夜は閑散とするなど、それぞれどちらが多いのか確認しましょう。
③ 競合の有無と入店率を確認する
同業の競合店が近くにある場合、そのお店に人が入っているかどうかを観察します。競合が繁盛しているエリアは、裏を返せばその業態の需要があるということでもあります。
まとめ

立地選びで使うべき情報源を整理すると次のとおりです。
- 公的統計(国交省・総務省):無料で使えるベースデータ。昼間・夜間人口や交通量を確認
- 人流ビッグデータ(通信会社系サービスなど):通行者の属性・行動パターンを詳細に把握
- 現地カウント調査:自分の目でデータを補完し、滞留性や競合状況を確認
立地はあとから変えられない、最も重要な経営判断のひとつ。感覚に頼らず、複数のデータを組み合わせて根拠のある判断をすることができれば、創業融資を受ける際にも役立ちます。
Izanagi consultinG groupでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
執筆者紹介

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Izanagi consultinG group 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
一般社団法人美容フリーランス協会 理事
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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