飲食店・美容室の創業前に、まずは一度整理しておきたいのが「士業」との付き合い方です。
いち従業員として働いているうちは、税理士や社労士、行政書士といった専門家に仕事を依頼する機会はほとんどありません。ところが創業・起業して経営者になると、このような専門士業の力を借りることが圧倒的に増えてきます。
そこで今回は、税理士・社労士・行政書士、それぞれの役割と、経営者が依頼する内容について整理し、解説していきます。
税理士へは「節税とキャッシュの見える化」を依頼
税理士は「税金の専門家」であると同時に、会社のお金の流れを一番把握してくれる存在です。
個人事業主として独立した人は、通常の会計業務は自分で行い、確定申告の時期だけ単発で仕事を依頼するケースも少なくありません。ただ、会社を設立し法人として創業した場合、会計処理が各段に複雑になるので、毎月の顧問を依頼することも増えてきます。
税理士に依頼する主な内容は以下のとおり。
・税務申告(法人税・消費税など)
・決算書の作成と説明
・節税アドバイス(生命保険、倒産防止共済、小規模企業共済の活用など)
・資金繰り表の作成
・金融機関向けの融資相談・書類作成
節税だけでなく、「今、資金繰りがどんな状態か」「半年後に現金が足りなくなりそうか」を予測してくれるのが大きなポイントとなります。
特に、補助金申請や融資を受ける場面では、税理士の作成する資料が成功率を大きく左右することもあります。
社労士は、人にまつわるトラブル予防に
税理士や行政書士と違って、社会保険労務士(社労士)はその業務内容が分かりにくいのではないでしょうか? 年金や労働保険の手続きを代行するのに登場しますが、そのほかにも「労務における相談役」としても活躍してくれます。
社労士の主な仕事は次のとおり。
・社会保険・労働保険の加入・喪失手続き
・就業規則の作成・変更(トラブル回避の鍵)
・労務トラブル(残業代・解雇・休職)の相談
・助成金の申請サポート(キャリアアップ助成金など)
・働き方改革・人事評価制度の導入支援
「突然の残業代請求」「解雇トラブル」など、労務リスクは意外と身近に潜んでいることが多いもの。しかし、普段から労務管理について社労士に相談していれば、こうしたトラブルを未然に防ぐことができます。また、トラブルが発生した際には、適切なアドバイスを受けることもできます。
さらに、社労士と顧問契約を結んでいれば、必要書類の管理から実務まで一貫して任せられ、業務の負担もかなり軽くなります。
行政書士は、許認可と書類のプロ
行政書士は「官公庁に提出する書類の専門家」です。美容室・飲食店をはじめ、多様な許認可が必要な業種ではいちばん最初に相談すべき人かもしれません。
行政書士の主な仕事は次のとおり。
・各種営業許可申請
・補助金・助成金の申請サポート(事業計画書の作成など)
・定款作成、法人設立の手続き
・契約書・内容証明の作成
特に開業時に必要な営業許可」や「法人設立」の書類は、ミスがあるとオープンが遅れる原因になります。また、補助金申請での「事業計画書」の作成支援も得意分野。補助金に強い行政書士をパートナーにすると、資金調達の選択肢が大きく広がっていきます。
まとめ
税理士・社労士・行政書士は、もちろんその業務のプロフェッショナル集団です。創業期からすべてを一人でこなそうとする方も少なくないですが、必要な時にプロを頼ることも経営者の仕事と言えます。
それぞれに相談するのもいいですが専門分野が異なるので、まずは当社のような「ワンストップでなんでも相談できる相手」を作っておくのも有効です!
執筆者紹介

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美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
一般社団法人美容フリーランス協会 理事
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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