美容室の経営でも、他のビジネスと同じく、いかに利益を上げるのかが最重要課題です。そのためにも経費をきちんと計算することは非常に大切です。経費には、毎月同じ額を支払う「固定費」と、その月によって大きく変動する「変動費」がありますが、今回は固定費について取り上げます。
1.家賃・賃貸料
美容室経営において、まずかかってくる経費が「家賃・賃料」です。家賃は、店舗を構えて経営している限り、継続的に発生するものです。
経営上、家賃の目安は「想定する売上の10%前後」に収めた方がいいと言われています。1ヶ月の利益が100万円であれば、10万円以下の家賃であるとが適正だということですね。
家賃については基本的に全額経費に計上できます。また、敷金礼金・内装工事・設備工事などの初期投資において、借り入れをしたのであれば、返済にかかる利息分は経費として計上することができます。
2. 光熱費
美容室では、照明やエアコン、ヘアドライヤーなど電気を消費する機器が多く使われます。そのため、電気代や、温水を出すためのガス代も固定費として考えます。美容室でかかる電気代は一般的に月30000円程度、ガス代は10000円程度だと言われていますが、それも店舗規模によってさまざまです。
3.水道料金
光熱費と同じく、美容室での必要経費に水道代があります。これも店舗の規模によって異なりますが、美容師1〜3人ほどの店舗だと、1ヶ月8000円程度だと言われています。
なお、水道料金と光熱費を合わせて、売上の3〜5%以内に留めるのがいいとされています。
4. 人件費
スタイリスト、アシスタント、受付など、美容室の運営には多くのスタッフが必要です。人件費は美容室の運営コストの中でも大きな部分を占めるため、家賃と同じく固定費としては大きな金額になります。
人件費として計上されるのは、スタッフの給与だけでなく、経営者の報酬、教育にかかった費用、社会保険料なども含まれます。なお、歩合制で契約する業務委託系の美容室であれば、変動費として考えます。
5.保険料
美容室だけでなく、店舗ビジネスを運営する場合は、その物件への火災保険に加入する必要があります。また、賠償責任保険や、盗難やクレームなどに備える保険なども経費として計上することが可能です。
6.通信料
固定電話・携帯電話、ネット回線料なども固定費として計上できます。
7.その他(雑誌やサブスク、有線音楽料金など)
店内で流す音楽の有線やサブスク、雑誌の定期購入や、電子書籍の使用料も固定費として計上することができます。
まとめ
以上が、美容室を経営する場合に固定費として扱える支出です。中でも、光熱費と水道料金、人件費については、変わることもあるので「変動費」として扱う場合もありますが、美容室ビジネスにおいてどちらも欠かせない、根幹となる支出なので、今回は固定費として考えました。
家計においてもそうですが、利益を確保するために、まず圧縮を検討するべき支出は固定費です。もちろん、お客様に提供するサービスの質が下がってしまうほど節約する必要はありませんが、あまりに高い店舗賃料や、不要な保険・サブスクなどは、真っ先に圧縮を検討するべき支出になります。
固定費の理想的な支出バランスを考え、健全な経営を目指しましょう!
美容室・飲食店創業支援センターでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される美容室や飲食店の支援をしております。開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
執筆者紹介
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美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
セミナーBOOK株式会社 取締役
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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