2022年は、3月21日以降、行動の制限を呼びかける
「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」が発令されず、
2021年と比べても人の移動が多い年でした。
その一方、円安が急激に進んだり、
新型コロナウイルスの感染者が増加したりと、
慌ただしくもありましたね。
こうした環境の中、どれぐらいの飲食店が生き残ったのでしょうか。
2022年、飲食店業の倒産は過去20年間で最少!
この見出しで驚いた人もいるかもしれません。
民間信用調査期間である、東京商工リサーチの調査によると
2022年1月〜12月の飲食業の倒産(負債1000万円以上)は、
過去20年間で最少の522件だった、と発表しています。(出典:東京商工リサーチ)
一方、このグラフを見るとわかるように、
コロナ禍真っ只中だった2020年は飲食店の倒産が多く、過去最多の842件でした。
厳しい環境だった2020年を乗り越えた飲食店は
国や自治体からの協力金・支援金・補助金などもあり、
生き残っていけたということが分かりますね。
最も多く倒産したのは「酒場、ビヤホール(居酒屋)」業
もう少し詳しくみていきましょう。
飲食店の中でも、最も多く倒産したのは「酒場、ビヤホール(居酒屋)」業でした。
残念ですが、それも世間の感覚からすると自然なことでしょう。
相変わらず飲み会や接待を禁止している企業も多いですし、
テレワークが増えて、出社しない、同僚と会う機会も少ない、
といった生活スタイルの変化も、その一因になっていると推測できます。
淘汰が始まった?「宅配飲食」と「持ち帰りサービス」
生活スタイルの変化といえば、やはり中食需要の増加です。
2021年には、「持ち帰りサービス業」「宅配飲食サービス業」の
新規法人設立数は、コロナ禍以前の1.4倍にもなっていました。
ところが、先ほどの業種別倒産数のデータによると
2022年にはどちらの業種も倒産件数が前年比より増加しています。
持ち帰りサービス業では前年比1.25倍、宅配飲食サービスでは前年比1.47倍の倒産件数です。
宅配飲食や持ち帰りサービスは、専門店にしてしまえば
客席もホールスタッフもいらない。
極端にいえば、キッチンさえあればなんとかなる…という業態でもあります。
そのため参入障壁が低く、競合が増えたことによって
淘汰が始まったと考えるのが自然でしょう。
2023年は、円安によるコスト増が課題に
以上が2022年の飲食店市場の現状でしたが
2023年はどうなっていくでしょうか?
やはり、直近で気にしなければならないのは
「円安」そして、円安や世界情勢の影響を受けて起こっている「物価上昇」ですね。
一般家庭ですら、スーパーで物価の値上がりを実感する状況です。
飲食店オーナーともなると、食材費、人件費はもちろん
店舗の光熱費、特に電気代の高騰には頭を悩ませることになりそうです。
観光地は、円安の恩恵を受けやすい地域でもある!
ただし、京都・大阪においては、円安は悪いことばかりではありません。
すでに実感している人もいらっしゃるでしょうが、
円安、そして、政府による水際対策の緩和で、
外国人観光客の客足が、少しずつ増えてきています。
京都市観光協会によれば、
2022年11月の市内主要ホテルの客室稼働率は80.2%、
3年ぶりに80%を超えました。(出典:京都市観光協会 データ月報(2022年11月))
そのうち外国人比率は18.3%。
同年10月と比べると72.3%増加しています。
円安が加速していることで、外国人観光客からは
「日本は今、旅行しどき」なのです!
実際に、観光客が増えてきているのが、その証拠でしょう。
今回は京都市のデータを取り上げましたが、
大阪にも足を伸ばす観光客は、もちろん少なくありません。
そのため、期待が持てる地域でもあるのです。
2023年春ごろには観光客が回復の兆し、という読みも
中国人の旅行状況については、まだまだ不確定な部分が大きいですが
ちょうど今の時期、1月21日〜27日までの春節で
実際にどう動いたのか興味深いところです。
先ほど紹介した京都市観光協会では、
春ごろには客足の再回復に期待ができるとしていました。
今のところ全国旅行支援は3月まで続きますし、
各自治体も、観光客の呼び戻しに本腰を入れてくるはずです。
2023年も飲食店が元気よく経営していくためにも
こうした時流をチェックしながら
適切な判断ができるように支援できればと思います!
美容室・飲食店創業支援センターでは、京都・大阪・滋賀を中心にこれから開業される
美容室や飲食店の支援をしております。
開業に不安がある、相談に乗って欲しいという方はお気軽にご相談ください。
執筆者紹介
-
美容室・飲食店創業支援センター 代表
株式会社Izanagi consultinG代表取締役
株式会社runO 代表取締役
セミナーBOOK株式会社 取締役
CCS,Ink. 取締役
税理士法人勤務時より融資関連業務に多く携わり、
2015年に美容室と飲食店の開業融資のみを専門に扱う美容室・飲食店創業支援センター設立。
2017年に美容室と飲食店向けコンサルティングサービスを展開する株式会社Izanai consultinG設立、代表取締役に就任。
資金繰り・資金調達・経営計画の策定を得意とする。
延べ200件以上の開業融資支援実績を有し、
開業時の資金調達は融資成功率100%の実績を有する(2022年12月現在)。
関西の美容室・飲食店開業融資支援のパイオニアとして知られる。
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